悩む人
- テレビ業界ってキツいって聞くけど、働き方改革で変わったのかな?
- 実情が知りたい
こんな疑問にお答えします。
本記事の信頼性
- この記事を書く僕はテレビディレクター歴10年です
- 大卒でテレビ業界に入り、これまで関わった番組は20番組ほど
- 主にバラエティを中心に番組作りをしてきました
働き方改革の波は、労働環境が悪いテレビ業界にもやってきています。
そんなテレビ業界の実情を記事にしてみました。
サクッと読めますので少しだけお付き合いください。
【テレビ業界】働き方改革で実際どうなった?【根本解決は遠い】
テレビ業界に、働き方改革の波が来たのは2016年頃です。
なぜ働き方改革が起きたのか、それはある事件がキッカケです。
それは電通社員の過労自殺事件です。
「新人女性社員の過労自殺」
2015年12月25日、新入女性社員が、社員寮から飛び降りて自殺した(享年24)。1ヶ月の時間外労働は約130時間に達し、過労死ラインといわれる80時間を大幅に越えるという、常軌を逸する殺人行為が明らかになった。個人の問題として片付けようとしていた電通であるが、女性社員個人のTwitterには過労だけでなく、DQN上司によるパワーハラスメントやセクシャルハラスメントの被害を窺わせる書き込みがされていた。引用:Wikipedia
テレビ局は広告代理店からの収入が大部分を占めています。
その大手取引先である電通の事件であったため、それまで「テレビだから」で許されたテレビ局の労働環境は、改善せざるを得ない事態になっていった感じです。
実際にどんな働き方改革が起きたか
テレビ局で実際に起きた働き方改革は、次の3つです。
- ADの労働時間を制限
- 残って作業しているADは強制的に帰らせる
- プロデューサーにADの労働状況を監視させる
こんな感じです。
一番仕事が作業量の多いADの労働時間を守ろうという動きが活発になりました。
なんですが、この働き方改革によって何が起きたか。
それは次の2つです。
- ADは会社に居られないので自宅で仕事をする
- プロデューサー命令で、ディレクターがADに振る仕事を制限
こんなことが二次的に起こりました。
要は、仕事の総量が変わらないので、建前上の働き方改革でしかなかったということです。
ADは会社で仕事ができないけど、やらなきゃいけない仕事は山積みでディレクターからも煽られている、であれば家で仕事をするしかない、といった感じ。
ディレクターは、プロデューサーにADに仕事を振らないように命令を受けるも、番組の内容が変わった訳でないので、ADに頼めないなら自分でやるしかない、といった感じ。
実際の労働環境は変わらないし、ADからディレクターに労働が押し上がっただけです。これでは根本解決になりません。
テレビの悪環境を根本解決するにはどうするべきか
テレビの労働環境を根本的に解決するには、次の3つの改善が必要です。
- スタッフを増やす
- 予算と期間に見合った企画内容にする
- 急変更をしない
この3つが出来れば、ホワイトな業界になるはず。
一つずつ説明します。
根本解決①:スタッフを増やす
テレビ業界を根本から改善するには、スタッフを増やす必要があります。
なぜなら、テレビ業界は単純に人員不足だからです。
やる内容に対して、それに掛ける人数が圧倒的に不足しています。
ほとんどすべてが人の力でないと出来ないアナログな部分が多いのがテレビです。例えば、何気なく見ている街角のインタビュー映像ですが、何人ものスタッフが何日も掛けて撮り集めたものが放送されています。(撮った素材のほんの一部)
なので、スタッフを増やせば増やすほど、働き方改革が実現可能になります。
なぜスタッフが増やせないか。
その根本要因は、予算です。
一番組に与えられる制作費は、年々下がっていて予算の締め付けは厳しいです。
その上、テレビのクオリティは落とせない、となるとどうしても構造上、労働環境にシワ寄せが来てしまうんですね。
根本解決②:予算と期間に見合った企画内容にする
テレビ業界を根本から改善する方法2つ目は、予算と期間に見合った企画内容にするです。
テレビ番組の多くは、どんな企画が面白いか、から考えて内容が決まっていきます。
この考え方でないと、視聴者の想像を越えられない、という理論は分かる気がしますが、働き方改革をするという観点では、企画を優先し過ぎるのは非効率です。
なぜなら、予算や期間をど返しした企画を実現するために、テレビは労働力で補うという考えがあるからです。
この考えだと、労働環境が悪くなるのは必然です。
だから、予算と期間に見合った内容にする必要があるのです。
根本解決③:急変更をしない
テレビ業界を根本から改善する方法3つ目は、急変更をしないです。
テレビは急変更がとても多い業界です。
なぜ急変更が起きるのか、それは番組に関わる人数が多いからです。
これはどういうことかいうと、
本当にこれで面白い?成立してる?視聴率は取れる?という判断や意見をする人の数が多いということです。
主に権限を持つのは、総合演出、チーフ作家、プロデューサーです。
(時には部長なども)
これはメリットもありデメリットもあります。
- メリット ⇒ 客観視する視点が増えるので改善しやすい
- デメリット⇒ 意見が強い人の意向で企画変更が起きる
意見が強い人ってどんな組織にもいますよね。
上層部が全員仲良いなんてことの方が珍しいと思います。
なので、そこまで積み上げてきた企画が、ギリギリになって急変更されるということはテレビではあるあるです。
この急変更があると、期日に間に合わせるため何が何でも対応せざるを得なくなります。すると労働環境はさらに悪くなるばかり。
急変更をなくすことで、働き方が整備されることは間違いないです。
【まとめ】
おさらいです。
テレビ業界で起こる働き方改革は次の3つ。
- ADの労働時間を制限
- 残って作業しているADは強制的に帰らせる
- プロデューサーにADの労働状況を監視させる
しかし、この改革によって二次的に起こった事が・・
- ADは会社に居られないので自宅で仕事をする
- プロデューサー命令で、ディレクターがADに振る仕事を制限
テレビの働き方改革は建前に過ぎず、根本解決に至っていません。
根本解決するために必要なことは3つ。
- スタッフを増やす
- 予算と期間に見合った企画内容にする
- 急変更をしない
この3つが出来れば、ホワイト業界になるはずです。
最近では、ADの人数を増やす番組チラホラ出てきているようですが、まだまだ浸透していない現状があります。特に制作会社に限っては今も昔も変わっていません。
本当の意味で、働き方改革が実現できればなと思って記事にしてみました。
少しでも参考になったら嬉しいです。
そんじゃあまた!